8月15日。

今日は終戦記念日です。少し、こんなお話しをしたいと思います。

神奈川県の藤沢市には大庭城跡公園というところがあり、また、その近くには水の澄んだ引地川が流れ、その川に沿って桜並木の遊歩道が延々と続く場所があります。何年前からか、このあたりは大のお気に入りの場所となり、時々、遠出しては犬たちを散歩させていました。その川には大きな鯉がいて、橋の下では人間の姿を見ただけで、パンや、お麸(ふ)を求めてたくさんの鯉が集まってくる。それぐらいきれいな川が流れています。

あれは今年、桜が咲き始めた頃のこと、外出自粛の少し前。

パオ、リルを連れて散歩をしていたとき、少し背中の曲がった白髪の御老婦人が二人、微笑みながら近寄って来られた。この犬はなんていう種類なの?と、2頭の大きな白い犬を怖がることもなく、覗き込むように頭を撫でてくれた。白いシェパードで日本ではちょっと珍しい種類であることを告げると、、、

お一人の老婦人が言われた。

わたしのうちにも昔、大きな犬がいたのね。でもね、戦争のとき、どんどん食料が無くなっていったでしょ、、兵隊さんの食べる物がなくなり、それでとうとう、食料のために、飼っている犬を提供しなくてはいけない悲しい時代があったの。そう、そのころ、わたしはまだ小学生でね、、、親と泣きながら連れて行ったのを思い出すわ、、、たくさん集まっていてね、、

衝撃的な話だった。

老婦人のかたは85歳だと言われ、遠くを見つめて話され、また頭を撫でてくれた。

戦後75年が過ぎ、私の父は軍人だったから小さいころからほんとにたくさんの話を聞いてきたが、日本におけるこんな話はその時、初めて耳にすることだった。常識が常識として捉えられない悲しい時代。わたしの知らない75年前のこと。

今、TVでは波照間島に起きた悲しい過去を放送している。

8月15日。

今年は世界中を席巻しているコロナ禍と水害。平穏な世の中ではないけれど、75年を振り返ったとき、今の繁栄の礎はこんな惨禍のもとにあることを胸に刻んでいきたいと思います。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

16 件のコメント

  • 生稲 勇 より:
    コロナ禍において、夏休みも短縮され
    今日が終戦の日であることも、お盆であることも
    忘れてしまいそうなくらい慌ただしい毎日です。
    体育祭も修学旅行も中止になってしまい
    落ち込む子どもたちにかける言葉さえ見つからない
    そんな今の状況ではありますが
    「戦争」という惨禍を礎に「今」を築いてきた人間だから
    必ずこの状況を乗り越えられると信じて頑張っています。
    悦ちゃんのご家族や周りの方々はお変わりないですか?
    こんな状況の中、私は、脚の手術を行い、
    何度も松葉杖になっていた脚が改善されました。
    コロナが落ち着いたら花でみんなに力を!
    そしてひまわりも… そんな日が1日も早く来ることを祈ります。
  • 伊神眞智子 より:
    悦子さんこんにちは❗️私の母親も今年84歳になり、戦争の話は飽きるほど聞かされて来ましたが、飼い犬の話は初めて知りました。衝撃的で凄いショックを受けました。やはり戦争というものは悲しみしか生みませんね。今現在全世界が目に見えない敵と戦う日々ですが、75年前の国民が立ち直ったように、日本人の底力で乗り越えたい!そう思いました。
  • さゆり より:
    コロナ禍で今までにない恐怖と不自由さが
    ありますが、戦中戦後の話しを聞くと
    比べものにからないのカモしれないと思います。

    愛する者を差し出さなければいけない辛さ
    計り知れないです!
    貴重なお話しありがとうございます。
    犠牲になったすべての御霊が安らかでありますように。
  • 木崎ようこ より:
    悦子さんの夏、、、、、
    私は、冷え性ではないですが、
    夏の暑さ苦手です。
    今年は、コロナの影響でお出かけには、
    マスク離せないです。まず自分を守る為にも
    暑さの中マスク着用です。

    コロナの影響で、行事も縮小縮小ですね。
    私は、子供の頃、戦後食料がない頃、
    赤犬を食べた事があったと、耳にした事記憶にあります
    現実、本当にあった事なんですね。
    でも、生きる為、仕方なかったのかもです。
    戦争、、、大人達の醜い争い。
    そうですよね。
    今は、コロナ、自然災害、今までになかった。
    普通の生活が無くなってる今、
    この先、どうなるのですかね。
  • 智渕剛 より:
    悦子さん。こんにちは、今日は未曾有の敗戦から75年
    大東亜戦争を必死に戦った英霊の皆様に感謝しかございません。

    御霊安かれ 國安かれ 民安かれ・・・合掌
  • こうこ より:
    悦ちゃん。
    今年は親戚の来ない静かなお盆を迎えました。
    同居19年目の夏。
    波照間島のTVを見ました。
    見なければいけないと思ったので。
    8月。思い出すのは私が中学生だった頃のある夜のこと。
    夕食後の茶の間に私は特別腰を落ち着かせるでもなく、出入りしていました。その時は無意識ではあったと思いますが、父が戦争の記録番組を見ていたことでなんとなく一緒に座っていられなかったのだと思います。
    父はまだ物心つくかつかないかという歳に、父親を戦争で亡くなくしていました。
    辺りを移動しながら、ふと父を見ると、父が声をころして泣いていました。
    あんな風に父が泣いていたこと、その気持ち、あの時のことを忘れることはできません。
    戦争を知らない私のような世代の人間が、あの戦争を絶対に忘れてはいけないのだと思います。
    皆の思いと一緒に心から平和を祈ります。
  • Hiroko より:
    私の祖父はシベリアに抑留されていました。
    終戦になり、祖母と母(当時3歳)は当時住んでいた朝鮮半島から死に物狂いで日本への船に乗って帰国したそうです。
    それから7年後、祖父が帰国。もう生きてるかわからないと思っていたのでビックリしたそうです。
    私が知っているのは、それだけ。
    祖父母ともに戦争のことはあまり話したがらなかったですが、生きているうちに、もっと聞いておけばよかった…と、この時期いつも思います。大好きだった二人が命を懸けて繋いでくれた命。大切にしなくてはと誓う日でもあります。
  • よーぽん より:
    悦子さん、こんにちは。
    老婦人の方のお話、大変驚きました。
    飼っている犬を差し出すなんて、どれほど辛く悲しかったか…飼い主さんにとっても犬にとっても残酷ですね。

    私の祖母は91歳で亡くなりましたが、戦争の話をよくしてくれました。焼夷弾が落ちてくる中を走って逃げて怖かった話や、妹が働いていた工場に爆弾が落とされて妹が亡くなってしまった話、防空壕へ逃げるときの話など。その光景が思い浮かぶほど生々しく話してくれました。
    私も子どもたちに語り継いで、二度と戦争を起こしてはいけないという事を話し合いたいと思います。
  • HINA より:
    そっと繋いでくれた命を思いながら、
    心の中で手を合わせ、「命」について考えました。

    毎日送られてくる、世界のコロナで
    亡くなられた人達の人数。
    それを見るだけでも、怖くなるのに、
    戦争で亡くなられた方はその何倍にもなる。
    そのほとんどは飢えだったと。

    私が中学の頃に亡くなった祖母は、
    “教師になれば、戦争へ行かなくてもいいから”
    と、よく言っていたのを覚えています。
    母は、悦子さんのドラマにも背中を押され、
    教員になりました。

    祖母も、あまり戦争のことは話してくれません
    でしたが、まだ幼い10代の同級生も戦争に行った
    のだと細い目で話してくれた事を覚えています。
    まるで、幼い私に重ねるように。

    戦争を知らない世代ではありますが、
    語り継いでいかれたらと思います。
    今を繋いでくれた命のことを。
  • あみ より:
    悦子さん、おはようございます。
    昨日?今朝?悦子さんとお会いし、手を握りながらお話をする夢を見ました。夢は忘れがちですが、忘れないように今必死に余韻に浸っています😊

    老婦人の方は、犬を見る度、心が痛み、大切な犬を手離す瞬間を思い出されていたのでしょうね。
    戦争の本当の恐ろしさは経験された方にしか分からないのかもしれません。
    いつか、こんな時代もあったと今を語れる日が来ることを祈ります。
  • 佐藤正啓(まさあき) より:
    悦子さんこんばんは。悦子さんが湘南にちよっとうれしいです。自分も茅ヶ崎に住んでおり、職場が藤沢なので東海道線で引地川をわたります。桜の季節には電車の窓越しに引地川の桜並木も見えます。老婦人のお話し衝撃的です!まだまだ戦争での知らない話しも沢山あるのでしょうね。暑さが厳しい毎日ですがどうぞお身体ご自愛ください!
  • 剛のこゆび より:
    犬まで命を差し出したお話。

    初めて聞きました。

    今年は里帰りもしないで
    仕事を通常通りこなした
    お盆でしたが
    記念番組を見ながら

    原爆の日、終戦記念日が何故
    国民の休日に制定されてないのか?

    初めて思いました。

    夏休みだから
    休み中に行われている
    式典だから気づかなかった。

    この時期だけではなく
    毎日でも
    戦争の悲惨さを語り継いで行く日本で
    あって欲しいです。


    まだまだ暑さが続きますが
    笑顔で免疫力アップしましょうね。
  • 多美子 より:
    目に見える恐怖、目に見えない恐怖、どちらも怖い。だけど母親の戦争体験よくきかされましたが、母親は、終戦近く親戚の質屋さんで、奉公していて、その日もごぼう畑にいて、一人だったらしいです、運悪くB29が真上にきて、必死で、ごぼう畑の葉っぱの影にかくれ、難を逃れたとか、今の私が、そんな恐怖に勝てるか、だけど今、コロナは、目に見えないだけで、そこらじゅう、ウロウロしてる、死を間近に感じる恐怖、何処から来るかわからない恐怖、皆、その時代時代必死で生きてきたんだなと思うと、私も精一杯怖がらず生きたい母親のように。
  • 宮城のトムソーヤ より:
    押忍👊
    宮城のトムソーヤです👍

    悦ちゃん!
    8月15日は、本当に自分を見つめ直す特別な日です。

    今年も「歸國」を観ました😎

    渡哲也さんがお亡くなりになってしまったので、哀悼の意を込めて「男たちの大和」も観ました。

    素晴らしい作品を通して見つめ直す事が出来る事に感謝です🙏


    日曜日は、石巻へひまわり観察に行って来ました。
    ちゃんと咲いてくれるか不安でしたが、三箇所とも少しずつ咲き始めてました🌻🤗🌻 ヤッター🙌

    悦ちゃんが運んで来てくれた「希望のひまわり」
    しっかり継続出来て良かったです🚂🌻🌻🌻🤗

    "花の力" 
  • tonton より:
    普通ではないのに普通になってしまっていた辛い悲しい経験は、その時代を生きてきた方達にとって、75年経っても忘れる事ができない思い出なのでしょうね。
    戦争はダメ!
    広島で被爆した母が93才の今もいてくれることに感謝です。
  • いちファンのk より:
    戦争を知ってる方が少なくなる中、知ってる方からお話を聞けるのは貴重ですね。

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