誰かが。


昨年、夏、

わたしは

久しぶりに京都駅に降り立ちました。





京都には

東映の撮影所があります。

そこで、

わたしは、ほぼ 13年間、


たくさんの映画やTVに出演させてもらいました。


「柳生一族の陰謀」も「里見八犬伝」も「蒲田行進曲」も「二代目はクリスチャン」も

大きな映画はほとんどが京都でしたし、


「柳生あばれ旅」や

「影の軍団」などの

時代劇のレギュラーもあったので


JAC全体が

ほぼ、京都にいた時代もあるのです。


その当時から、私を含めてJACのみんなを

 

たいへん可愛がってくれたかたが

演技課にいました。



名前を前川良三さんといいます。

そのかたの

当時の歳が40後半で

映画全盛時代には役者もやられ、

高倉健さんの

お付きをされていたこともあり、

とても温厚で

面倒見の良い、京都弁の奥ゆかしいかたでした。


わたしたちはしょっちゅう

おうちにも遊びにいき、奥さまからは美味しい手料理をごちそうになり

当時、小学生だった娘さんとも一緒に遊んだりしました。


わたしが結婚してからも

料理がちゃんと作れてるのか、子育てがちゃんと出来ているのかと心配してくださり、


その大きくなった娘さんと遊びにきてくれたりもしました。


毎年、年賀状もいただき、

筆文字の達筆さは

すぐに前川さんのものだと

わかるほど人格の表れる素敵なものでした。




昨年、6月

その前川さんから

突然の電話があり



その声はとても、普通で

当時の前川さんとなんら

変わらない穏やかな声でした。



でも

その穏やかな声から聞いた言葉に、


わたしは

動転して

息が詰まりました。



体調が悪いので病院で検査を受けたところ、

すい臓に腫瘍が見つかり、

余命が3ヶ月であると!



そして


わたしと広之くんとクロちゃんの声が聞きたいから

電話してる!と言われました。


広之くんとは 真田広之くん、

クロちゃんとは

当時、主演映画を2本も撮ったJACの次世代のホープだった黒埼輝くんです。


前川さんが一生懸命に世話をしてくれ、目の中に入れても痛くないほど

可愛がってもらったのでした。





涙をこらえようとしても

電話口のわたしは涙があふれて仕方なかった。


でも奇跡は起こるから!ぜったいに起こるから!と、

言い続け、

わたしは、かすれる声を必死に押さえたのでした。



そして…


そのあと、すぐに、

わたしは

京都に飛び


前川さんと会い

昔をしのんだ、たくさんの思い出話をして

笑い合いました。

わたしは

ひたすら

笑えることを話しました。




帰りの

京都駅で

新幹線を待つ間にいろんな思いが去来しました。


京都駅は最新の建物になり、すっかりと

様変わりをしていて

わたしの知ってるあの懐かしい京都駅の面影は、もうどこにも見当たらなかったです。



わたしは

吸い込まれるように、

売店にある金や銀の扇を手に取っていました。



そこには力強い

雷神、風神の絵のものや、

華やかな優しい御所車が描かれていたものを

手に取っていました。

なぜか、

それを見ていると心が落ち着きました。




その1か月後

前川さんの

訃報を聞きました。


それは思いもよらぬほど

あまりにも早く…



でも会えたことが

わたしを救ってくれました。



今回、ステージ パフォーマンス「雅」の最後に

完成した花の前で

わたしが手にして拡げた金色の扇は

その

京都駅で吸い込まれるように手にした御所車の扇です。


ステージ上で

竹を使い、創り上げたものも大きな扇でした。



それは

まったくと言って

意識したものではなかったですが、

自然と

絵コンテの段階で

扇を描いている自分がいました。




「阿吽」には

始めと終わりという意味があります。


大事な人の「生き死に」が、わたしに教えてくたもの、

それが

いつしか

「雅」や「阿吽」に表れているのです。



わたしが

今まで創ってきたもの、


「経」「階」「阿吽」「雅」


日本の言葉の中には

日本の心を謳ったものが多く、


わたしはわたしの経験の中から


何かが、


誰かが、


わたしに

創らせてくれているのだと

思っています。




今回の

世界らん展には

わたしのこんな「思い」が

綴られているのです。

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24 件のコメント

  • ゆう希 より:

    悦子さん、おはようございます。
    前川さんも、空から見守ってくれていたのでしょうね。

  • yayoi より:

    おはようございます。

    とても悲しいお別れがあったのですね‥
    その方の優しさが伝わってきます。
    優しさの魂も入ったステージだったんだな
    って思えます。

    昨日は西大寺会陽でしたね‼︎
    私は子供の頃食べた観音様のおうどんが
    時々蘇ってくるんです。
    食べたくても もう食べれないものって
    あるんですよね‥ 悲しい‥(;_;)
    久しぶりに あと祭り行ってみようかな‥
    つて新聞読みながら思ってました^_^

  • 日本\(^^)/ より:

    「感」じて「動」く
    まさに『感動』ですね。

  • まさ より:

    人それぞれの「思い」。
    人それぞれの「想い」。
    人それぞれの「憶い」。
    エッセイを拝読し、昨年末に亡くなった同い年のマブダチを思い出しました。日々、感謝。心の琴線に触れる素敵なエッセイをいつもありがとうございます。

  • 川崎晃輔 より:

    前川さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

    合掌。

    生と死は避けられぬ運命。

    御所車の扇に前川さんの念があったとおもいます。

    らん展の阿吽を拝見させて頂きましたが、悦子さんの

    その思いを知らず、ただ素晴らしい作品だと感銘し

    スタジオに向かった自分が恥ずかしいです。

    悦子さん、広之さん、黒崎さんと最後にお話し出来て

    前川さんも願いが叶い旅立たれたんです。

    ありがとうございました前川さん。

    自分も、この場をお借りしまして感謝の意を。

    合掌

  • 木崎ようこ より:

    お早う御座います。

    そうなんですか、そう言ういきさつがあっての、事だったのですね、
    京都、私も大好きな、処です、結構足を、運んでる処です、でもいつ行っても、観光客多しの処ですよね。
    でも私の好きな場所です。
    でもまだまだ、行けてない処しの京都です。

    今日も広島良い天気です、
    今日一日ある事に、感謝、今日は今から一人で映画、行って来ます、(^_^)♪……♪☆

    ラン展でのお疲れ取れましたか❓
    何時もながらですが、お身体ご自愛下さい。

  • Yukio より:

    感無量です。天国の前川さん嬉しそうな表情と声援が聞こえて来ますね。前川さんの分まで長生きしなきゃーですよね⁉有難うございます。

  • 丸山チェ子 より:

    素晴らしいですね❗
    偶然のようでもあり どこかで
    心が繋がっているような
    そんな気がします

  • 西間木 より:

    感動しました。

  • NEVER-CHANGE より:

    トークショーでの、寒い冬は根を張り、寒い冬を越えて花は咲く。咲かない花はい。これは人生にも通じるものがある。というお話しも印象的でしたが、前川さんのお話しも深すぎます。
    阿吽や雅に込められた思いを伺って、また、違う角度から、写真を眺めたいと思います。

  • たんぽぽ より:

    悦子さん!
    そうだったんですね。思いの深さを感じます。
    悲しいお別れのあと、のあのステージだったんですね(;_;)

    人は2回死ぬって誰かいってました。
    1回目は身体が滅びるとき。
    2回目は人の心から忘れられたとき。

    誰もが
    自分もいつかはそんな日が来るんだろうけれど
    その日まで仕事をし、笑って過ごせたらな最高なんだけど!

    悦子さんのプラグエッセイで名前すら知らなかった方のことを、たくさんお聞きし私たちの心の中で生きる。

    悦子さん。嬉しいことも悲しいこともお話していただいて思いを共有させていただいてます。ありがとうございます!

  • YUMIKO より:

    何故かわからない涙が出てどうしようもありません。
    人が通りすぎ、わからないもの、見えないもの、気づかないものたくさんありますね。
    花の表現….悦子さんは花で大切なのは何かを表現されて、多くの人が何かを感じるのだと思います。
    一生懸命生きなくちゃ!と思います。

  • ハッシー より:

    そうだったのですね。
    あの雅にも扇にも
    そんな想いが溢れていたのですね。
    想いを語ってくれて
    ありがとうございました。
    なんかじーんとしてしまいました・・・

  • 長渕ファミリーファン より:

    天国で見守ってくださるでしょうね。
    ご冥福をお祈りします。

  • あみ より:

    人はいかにして人生の最終局面を迎えるのか、
    どうすれば前川さんのように人生の最期を生きることが出来るのか、自分自身の生き方を考えさせられます。
    そして、人との出会い、関わり合いの中で、
    「感じる心」を大切にしなければと思いました。

    これからも悦子さんの「思い」で素晴らしい作品を作ってください。
    悦子さんの作品は、天と地を結ぶ虹の橋です。

  • 月夜のうさぎ より:

    らん展の“完”お疲れさまでした。
    言霊・・・言葉の持つ力、悦子さんのブログにつづられる言葉はいつも純粋で温かくそして奥が深い・・・私たちの心に刻まれます。

    過去があり現在がありそして未来へつながる。
    悦子さんの「思い」は故人に、そして私たちにも届いていますよ。

  • 高井邦克 より:

    お悔やみ申し上げます。

    今回の悦子さんのらん展での強い想いと活躍、
    きっと、前川さんは見守ってくれていたと思います。


    昨年の夏、私もジム友を失ったと伝えましたが、
    彼も同じ膵臓癌でした。

    いつも仲良く笑いながら、互いに頑張って鍛えていたのに・・・
    そんな時に、私の寂しい想いを察してか、
    いつも挨拶を交わすだけの同級生がいたのですが、
    ジムで沢山話しをしてくれるようになりました。
    彼の「週一じゃ勿体無いよ」という一言が、
    更に私に火をつけました。(笑)
    友を失った寂しさを吹き飛ばすように、週二回。
    トレーニング時間何倍も長くなったのです。(^-^)

    その恩人、同級生とは隣り近所なのですが、
    元々中学校が違うのです。
    ギターという共通の趣味もあり、人柄も最高で、
    ここ数年で大好きで、急激に仲良しになりました。(*^_^*)
    何故こんな話しをしたかというと・・・

    その同級生の娘さんが、
    実はアイドルグループ、
    恵比寿中学のメンバーの一人なのです。

    なのでジムでは、
    私は剛や悦子さんの話題ばかり(富士やフラワーアレンジメント等)
    彼は、娘のえび中の話題ばかり。
    私もテレビをなるべくチェックし応援するようになりました。
    なので今回、
    メンバー、仲間を失ったショックって。
    わずか18歳での急死って。

    両親やメンバー、
    どれ程悲しいのかなって、思うと・・・


    大切な人を失うことは、
    ただ悲しいではなく、
    その人の想いを背負って、
    生きることなのだと私は考えます。

    だから、悦子さんも、
    私達も、
    「生きている」を実感できるような熱量で、

    生きて、生きて、生きて、生きて

    生きまくりましょうね!!!\(^o^)/

  • TRY AGAIN三宮 より:

    命は永遠じゃないですもんね。
    日常生活でその事を常にイメージするのは難しいけど、終わりを意識して生きていくって事はとても大切なんだと思います。

  • TAKAKO より:

    悦子さん、おはようございます!
    別れはつらいものですね。
    私の子どもたちは今、青春真っ只中。この先の未来へ向けて毎日輝きを増すばかり。
    しかし父と母は病魔に侵され、確実に別れが迫っている。
    慌ただしい日常の中で、時折押し寄せる切なさ。
    無償の愛で懸命に育ててくれた両親に何もしてやれない歯がゆさで胸が押し潰されそうです。


    それでも朝はやってくる。
    また今日1日を精一杯生きていきます!

  • おおきゅうなっても悦子ファン より:

    心中お察し申し上げます。
    悦子様

    別れは悲しく寂しい事ですけど、
    お会いできて、お話しできてよかったですね。

    私は両親を亡くして何年もたっているのに、
    未だに思い出すと涙が出てしまいます。
    もっともっと、してあげられることがあったのに・・・
    と、後悔ばかりです。

    きっと、この経験が悦子さんの
    さらなるパワーとなることと思います。

    追伸
    京都は私の青春時代を過ごした場所です。
    「柳生一族の陰」
    「里見八犬伝」
    「蒲田行進曲」
    「二代目はクリスチャン」
    「柳生あばれ旅」
    「影の軍団」

    すべて拝見しております。

  • 生稲 勇 より:

    レオのもとへと続く『階』の次は
    前川さんの命の『阿吽』
    悦ちゃんの作品に魂が込められているのは
    そこに命に繋がるものがあるからなんですね。
    ひとつひとつの意味が見えてきたとき
    その作品がさらに輝いて見えます。

  • 浅野 陽子 より:

    心よりお悔やみ申しあげます。ちょうど、ひまわりプロジェクトの最中だったんですね。7月7日、77歳、まだ早すぎます。ひまわり畑、画像見せてあげられましたか?娘さん、奥さんと沢山、ご主人のお話しして下さいね。きっと、聞こえていますよ。

  • yuki より:

    前川様に最後にお会いできて本当に良かったです。
    世界らん展にはそんな思いがあったのですね。

    最後のお別れはホント悲しすぎます。

  • いちファンのK より:

    東京だけでなく、京都にもJAC(養成所)ありましたよね。
    いいお話を聞かせて頂きました。
    前川さんも、悦子さんが会いに来てくれ、思い残すことは、なかったと思います。
    トークで、お世話になった方が亡くなりと言われてましたが、亡くなった方を思い、良い作品が出来たら故人も本望だと思います。
    悦子さん、今まで多くの所へ行き、多くの方と出逢い、別れ、濃い人生だと思いますが、実になってますね。
    今までの作品名から、日本語の美しさを再確認させて頂きました。

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