ア、ナ、コ、ン、ダ!

 
 
わたしはどうにもこうにも蛇が苦手である。昆虫も含めていうが、動く動物の中で、苦手なのが蛇だ。トカゲもカメレオンもイモリもヤモリも大丈夫なのに蛇はだめ。うなぎもあなごも大丈夫なのに蛇はだめ。

こう、書いていても、この蛇という字だけでも、震えがくる。苦手を通り越して大嫌いである。そもそも、こわい!怖い!恐い!のである。

昔、里見八剣伝という映画に出た。八剣士の中の一人で確か″犬飼毛野″という名前だったような。″犬飼毛野″は蛇の化身だという。当時、深作欣二監督から蛇の化身なので蛇を抱いてほしいと言われた。首にぐるぐると巻き付けてほしい。そんなカットを撮ってみたいと、映画のクランクイン前に言われた。頼まれた。懇願された。

当時、深作欣二監督と言えば日本を代表する映画監督。(もちろん亡くなられた今もだが。)

スタッフの誰もが深作組のひとりになることを望んでいたし、深作組のスタッフであることにステイタスを感じでいたし、それはむろん、キャストも同じことで、とにかく人間性も含めて深作監督はみんなから愛されていた。深夜の撮影になっても誰一人として文句をいう人はいない。みんなが監督とともに作品を創り上げることに誇りを感じていた。その監督からのじきじきのオファーである、申し出である。懇願である。意を決して、わたしは何をしたか。

まずは蛇に慣れよう、伊豆にある「蛇センター」に行った。とにかく蛇に平気になろうと努力したことだけは確かだ。気持ちはあった。しかし、もう入り口から気絶しそうになった。入るのにも度胸がいったが、それでも覚悟を決めて、ドアを開けたが、ものすごい数の蛇に、気絶しそうになったのではなく。気絶した。

蛇の何がだめなのだろう?長くてくねくねしてるのがだめなんだろうか。手も足もないことがだめなのだろうか。あの顔がだめなのだろうか。毒を持ち、噛みつくのがだめなのだろうか。ウロコみたいなのが気持ち悪いのだろうか。なんども自問自答したが、結論など出ない。とにかくそのすべてがだめなのだろう。ひょっとしたら先祖に噛まれた人がいるのではないだろうか。だからDNAの中に刷り込まれているのではなかろうか。

それでも「蛇センター」は一応、息も絶え絶えに出口まで歩いた。と、いっても今も思い出しても、その中の記憶は一切ない。どのようにしてわたしは、たどりついたのかさえも記憶にない。どんな蛇がいたのかさえも記憶にない。記憶から消されている。ただ、出口まで来て決意したことだけは覚えている。

監督には断ろう!!!とてもじゃないけど無理だ!それだけは絶対無理だ!

 
「柳生一族の陰謀」「宇宙からのメッセージ」「蒲田行進曲」「上海バンスキング」と深作監督にはほんとうに可愛がってもらった。

どんなアクションもやれた。どんなアクションも挑戦した。しかしながら

ひとつだけ監督の要望を断ったもの。それが″蛇″だった。首になんか巻けない。そもそも触れない。いやいややっぱり見るのもダメだ。監督には「蛇センター」まで行ったことは告げて、容赦していただいた。

前説がとてもながーくなったが、そんな蛇嫌いのわたしの前に立ちはだかった

 
アナコンダ!!

 
見上げて気絶しそうになった、アナコンダ!

 
 
 
 
 
腰が抜けそうになった!いや、抜けた!

 
 
 
 
山は凄いものを見せてくれる。

その太さたるもの。大人の太ももよりも堂々と太い。

気絶したまま、息を飲む。息をひそめる。

 
 
見上げると

それは天まで昇ってる。

 
おそるおそる目を下に見やると

 
地面近くは細いのにいったん、上にあがり、大木に巻き付くと、それはものすごい勢いで太く大きくなっている。

 
恐るべし、アナコンダ!

 
70年は生きている。ひょっとしたら100年かもしれない。

自然が織り成す共生。共に生きる。巻き付かれてもなお、力強く生き抜く″曽根の大木″。アナコンダと化した″山藤(やまふじ)″の うねりはまさにアナコンダだ!

 
圧巻だった。

 
見るものを驚愕させる、

 
山の神たち。

 
 
 
 
 

17 件のコメント

  • みどり より:
    「里見八犬伝」懐かしい!
    あの頃、そんなエピソードがあったのですね。
    でも…。
    えっちゃんの「毛野」さんの名字は「犬坂」さんで、
    「犬飼」さんは大葉健二さんの「現八」さんの名字でした…。
  • 生稲 勇 より:
    自然の力はすごいですね!
    まさにアナコンダ((((;゚Д゚)))))))
    「里見八犬伝」で萩原流行さんと戦っている悦ちゃんのようです(笑)
    前の勤務先にはよく蛇が出ました。
    My蛇捕り棒を持ってましたよ!
    7年間の勤務中に何匹捕まえたことか…
    おかげで「蛇担当」の称号をいただきましたが…(笑)
  • 馬場 ゆう希 より:
    悦子さん、おはようございます。

    ドキドキしました‼️。

    凄いモノを見せていただきました。
    しばらく脳裏を離れなそうです。
  • sora より:
    1枚目の写真を見て、ギャーと思いましたが。。。
    木なんですよね?凄いです。
  • 廣美 より:
    悦ちゃん おはようございます。

    私も写真見てびっくり!と言うよりドキドキ
    しちゃいました。

    蛇、私も苦手です(>o<")
  • FUKIKO より:
    悦子さん
    まじで、蛇に見えた!!!びっくり!!!
    すごいなぁ自然。
    悦子さん、ありがとう。
  • ココロ より:
    こんにちはー悦子さん😊
    キャ〰️〰️蛇、大嫌い〰️〰️!!
    写真で見て、こんなに長くて太いから
    実物は、もっと凄かったでしょうね🐍
    あの、深作欣二監督から、容赦して
    頂くとは、悦子さんの蛇嫌いが
    すごーーく伝わってきます🐍
    本当に、蛇は恐い、気持ち悪い
    なんとも、言えない、生き物ですね🐍
  • 大井 剛一 より:
    やはり自然は凄いですね。俺も蛇は大の苦手です。蛇という文字やおもちゃも背筋が凍ります。
  • 長渕ファミリーファン より:
    深作監督とそんなエピソードがあったのですね。
  • 多美子 より:
    初めて見ました❗気持ち悪い、怖い。本当、腰抜かすは。
  • おおきゅうなっても悦子ファン より:
    アナコンダ!!
    悦子様

    マジでアナコンダかと思いました。
    ・・・ん?
    アナコンダって日本にいるのか?
    いない気がする・・・。
    山藤のツル?なんですか?

    里見八犬伝にそんなエピソードが・・・
    毛野様 おきれいでしたよ。
  • ハッシー より:
    あんなにしなやかに巻き付くものなのですね。
    凄い!!
    だけど・・・
    やっぱり気持ち悪いかな(>_<)
    映画のエピソード、大変でしたね。
    でも面白い(^_-)-☆
  • 浅野 陽子 より:
    娘の同級生は、ヘビが大好きで、
    田んぼでヘビを見つけ、持ち帰りましたが、
    行方不明になり、探すと布団の中で、
    とぐろをまいていたそうです。
    女性の方が、ヘビを苦手な人が多いそうですが、
    触ると好きになると飼育員の方が、言われてました。
    だって、バッグにしてるでしょ、と
    おっしゃってましたよ。
  • たんぽぽ より:
    悦子さん╰(*´︶`*)╯♡

    自然は恐るべしですね!

    でも‥‥気持ち悪い!
    ってなんてこと言ったら山の神様に怒られますね!笑
  • 梅こぶ より:
    ハワイへ行ったときにバニヤンの木が別名絞め殺しの木と言われていることを知りました。
    他の木に巻き付いて絞め殺し、自らが成長していく・・
    何とも言えない気持ちになりました。
  • いちファンのK より:
    写真が、どれもすごすぎます~。
    蛇そのものですね。
    「里見~」の秘話まで聞けました。
    妖しい感じで、悦子さんのシーン特に好きです。
    苦手なものあってかわいいです(あまり蛇見ませんしね)
    蛇女、似合いそうですが、首に巻くのは無理ですよね。
    「上海バンスキング」等、深作監督も恩人ですね。

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